前回の記事では、父の入院先で、「永代供養」を知ったというお話をしました。
同室の方には、今でも本当に感謝しています。
まさに「地獄で仏」だね。
永代供養とは
私は、「永代供養」という言葉をそのとき、初めて知りました。
そして、お墓以外で、ご先祖様を供養する用法があることも。
それまで、ご先祖様には、お墓参りをするのが当たり前だと思っていました。
永代供養の起源
永代供養とは、寺院が永代にわたり供養する事をいう。
起源は定かではないが、江戸時代に書かれた永代台帳が多くの寺院で見受けられる事から、永代供養が古くから行われていた事が分かっている。
また、同じく江戸時代に設けられた檀家制度も、檀那寺の維持にその都度つとめる事を条件に檀家の供養を寺院が行うという点で永代供養をお願いしている事になるが、檀家制度が寺院を保持する為、近隣を対象としたのに対し、永代供養では地域に関係なく信仰により供養がされた為、檀家制度のように寺院の維持に、その都度つとめるという事が出来ず、それ故に最初にまとまった志俱を納めるようになり、それが今日の永代供養の原形になったのではないかと考えられる。
その為、古来より永代供養が行われた寺院は信者寺と呼ばれる檀家を持たない寺院に多くみられる。
近年では、核家族化などの事情により、檀家寺でも永代供養を行う寺院が増えており、本来の檀家制度と永代供養の垣根があいまいな形になっており、葬式仏教と揶揄される原因の一つにもなっている。
引用: wikipedia
あっぱれ
現代の永代供養事情
近年、少子高齢化の進行により、生前より永代供養を希望する中高年が増えている。墓や信仰を継承する子孫がおらず、死後の供養が期待できない人のために、その遺骨や位牌を境内の共同墓地に合祀し、寺院の存続する限り僧侶が定期的に共同墓地を保守管理することを永代供養と定義する寺院もある。
無縁社会という言葉が流行語となり、年間32000人(2010年)が無縁死するといわれる無縁社会にあって、無縁ビジネスのひとつである永代供養ビジネスもにわかに活況を帯びてきている。
引用:wikipedia
核家族化により、その檀家自体の維持が難しくなってきた。
そこで、檀家のあるお寺も、「永代供養」を行うようになったのですね。
目次
墓じまいの準備で行ったこと
父が入院中の同室の方は、市内のお寺に、「納骨堂」ができることも教えてくれました。
そのお寺の役員をされているとのことでした。
檀家を持つ寺が、永代供養を行い、骨壺を納める場所を作る場所ができる
ということになります。
母は、長年、お墓詣りを夫と娘たちにさせていることが心苦しかったのでしょう。
母「もう、私もお墓参りできないし、お父さんも無理だと思う。子どもたちに負担をかけるのはいやだ」
母「このタイミングで、同室の方がアドバイスしてくださったのも、何かの導きかもしれない。」
母の気持ちはすでに、「墓じまい」へと固まっていました。
何とはともあれ、まずは、見学をしてみることにしました。
検討先のお寺の納骨堂の見学
新設された納骨堂は、実家から比較的近く、バリアフリーでエレベーターもあります。
足の悪い母でも大丈夫ですし、加齢により足腰が弱った年配の方でも、いつでもお参りができます。
そして住職の方もとても親切で、丁寧に説明してくださいました。
部屋の中は前に大きな祭壇があり、祭壇に向き合う形で、各家ごとの納骨堂が並んでいる。
いわば「お墓のマンション」です。
納骨堂は様々なサイズがあり、各家庭の規模のニーズに応えられるようになっています。
ひとつひとつがコインロッカーのように、鍵もかけられ、安全対策もしっかりされていました。
何よりも、新設ということで、とてもきれいで、決め手になりました。
お寺での行事参加。
そして、お盆と暮れは、自宅の仏壇にお勤めにいらっしゃいます。
お墓が納骨堂になったというだけで、大きな抵抗感はありません。
一度の契約で、私がお世話できなくなっても、お寺が管理をしてくださる。永遠に。
検討の末、このお寺の納骨堂を契約することになりました。
契約の際にクリアしないといけないこと
永代供養、そして納骨堂を契約するにあたって、我が家では下記の点をクリアしなくてはなりませんでした。
- 改宗
- お墓の移転・仏壇の買い替え
- お寺への説明
- 費用
改宗
私の実家は代々「禅宗」でした。
仏教にも多くの種類がありますが、検討先のお寺は「浄土真宗」です。
つまり、禅宗から浄土真宗へと「改宗」を行う必要がありました。
ご先祖様が何ゆえ、「禅宗」を選んだかは、もはや知る由もありません。
ざっくりした共通点は、お経が「南無阿弥陀仏」。
違う点は、浄土真宗の方がやや仏壇がきらびやかである。
という程度です。
母は、「宗派」より、ご先祖様にちゃんと会える方が良い。
というスタンスで、「改宗」をすることに対する迷いはほとんどありませんでした。
私も荒れたお墓ではご先祖様に申し訳ないという考えは一緒だし、母の気持ちも分かるので、改宗に対する抵抗感はすぐにクリアしました。
お墓の移転
納骨堂を契約となると、現在、お墓の中にある骨壺を移動させなくてはなりません。
本家とはいえ、古い家系ではありませんが、幼くして亡くなった父の弟など、私の知らない方もいらっしゃいます。
「お願いされて、あの方のも入っている」
そういう世界です。
父も動けないし、判断能力もそのときにはありません。
何をどうしたよいか、良く分からない部分も多かったのですが、いつもお世話になっている仏壇店が、すべて取り仕切ってくれるとのことで、お願いすることになりました。
お寺への説明
長年お世話になったお寺です。
最後のけじめが必要ですし、お墓の周りが荒れていたとはいえ、これまで守ってくださった感謝の気持ちもあります。
夫婦ともに体を悪くした事情もあり、比較的すんなりと報告は終わりました。
気が付けば、お墓の移転を決意する檀家さんが増えてきたのか、山のお墓もポツポツと更地になっていました。
あっぱれ
費用は誰が出すか
納骨堂の費用、改宗を始めとしたお墓の移転、仏壇の購入等々。
問い合わせるまでもなく、大きな金額になることは目に見えています。
親戚と折半という方法も考えましたが、すでに家を出て久しく、例によって父と折り合いが悪い。交流も途絶えている。その父が入院中ともなれば、私たちが出て金銭面でもめるのは明白。
自分たちで持つことになりました。
(これがまた、後々、揉め事になってしまうのですが・・・)
仏壇店でしてくれたこと
仏壇店の方には大変お世話になりました。
さすがプロです。
そして、時代の流れもあり、こういうケースが増えてきたのでしょう。
非常にスムーズに行われました。
余談になりますが・・・
実は、この墓じまいをおこなったのは、今から10年前のことです。
(思い出しながら、当時のメモを見ながら、書いています)
今はもっと手厚くなっているかもしれないし、情報も多くあることでしょう。
私たちの場合は、「人からの情報」でした。「人とのつながり」が無ければ、今、こうしてお伝えもできていないわけです。
ぜひ、地元の仏壇店やお寺を目で見て、そして直接言葉で気持ちなどを伝えられてください。墓じまいはそれぐらい「心」の大切な作業だと思っています。
あっぱれ
あの頃は、そんなサイトなかったなあ。見つけられなかったのかも。
あっぱれ
墓じまいの手順
墓じまいは、だいたい、下記の手順で行われました。
- 契約(お寺)、仏壇店
- 現在のお寺に伝える
- 改宗に伴う各手続(宗派とお寺によって変わりますが、要は“魂を納める場所”を変えるという儀式を新旧ともに行います。
- お墓の移転・・仏壇店が工事、そして最後のお浄めまでしてくださいました。
- 仏壇の取り替え・・禅宗と浄土真宗は仏壇が違うため、取り替え。禅宗では木魚がありましたが、浄土真宗ではない・・というのがちょっとした驚きでした。
- 新しいお寺による、一連の儀式(家の仏壇、納骨堂の仏壇での読経など)
あっぱれ
墓じまいにかかった費用、How much?
この記録の読者の方には、今、墓じまいを検討中という方も多いかもしれません。
その多くの方が気になるのは、やはり
「墓じまいの費用」
でしょう。
10年前の記録で、地域性もありますが、私の実家でかかった費用をここで披露します。
[box03 title=”墓じまいでかかった費用”]永代供養の契約料・・・約120万
お墓の移転、仏壇の設置、お墓の処分等、つまり、仏壇店に払った費用・・・15万円
維持費(永年)・・・15万
護寺会費・・・年間6600円
おおよそ、150万円となりました。
[/box03]大きな出費となりましたが、お墓を守る、ご先祖様と敬う面で義務を果たし、両親も私もほっとしました。
墓じまいを経験して
先祖代々続いてきたお墓をしまって、お寺の中にお骨を納める。
勇気のいる決断でしたが、この先、誰が面倒みるか分からなくなるという状況になるより、安心して任せられる場所があるというのは大きな「安堵」でした。
私は長男の嫁であり、男兄弟も息子もいるので、夫の代で墓じまいが行われるかどうかは分かりませんが、私の実家のように、もう見てくれる人がいないという場合は、自分たちの代でお墓をしまうという選択肢は、決して後ろ向きではなく、明るいものであると思いました。
こちらでは、お墓選びをネットからできます。
次回は、「長女の墓じまい」最終回。
「現在のお墓まいりのこと」です。